ケンタウルス座アルファ星からの侵略者

これは『サイバーパンク2077』に刺激を受けた二次創作であり、非公式のものであり、かにの妄言である。


 聞けい聞けい聞けい。耳あるものは立ち止まれ、目あるものは真実を見よ。我らが族長アブラ・カタブラの預言を告げる。我らエルフ族により、アストラル界にて背景放射のゆらぎを観測したところ、人類が直面している危機が明らかになった。ケンタウルス座アルファ星の科学魔術師による企みだ。彼らはすでに地球へ、侵略の一歩を踏み出している。陽子を2つ送ってきたのだ。多次元展開されたそれらは地球を覆い、人の認識を阻害し真実から遠ざける。日常をみよ。日々のニュースで死亡者数当てクイズが開催され、数十人が毎日路上でくたばっている。ギャング同士の衝突で一時間当たり700発の弾丸が飛び交い、企業に不利益なモノはいとも簡単に消される。クロームで強化された狂人が暴れ、鎮圧のために派遣された特殊部隊が血の海を作る。舐められればこの街では生きていけない。豚に舐められれば死ぬと大昔の作家は書いた。この街は豚で溢れている。そして君は崖際に立っているのだ。勇気を持って崖から飛び降りよ。さもなくば豚に舐められて死ぬか、君自身が豚になる。それこそがケンタウルス座アルファ星の科学魔術師の陰謀だ。ともかく人は、実際にどうかよりも、どう見えるかばかりを重要視している。誰もが何の問題もなく万事うまくいっているかのように演じることを強いられているのだ。誰に強いられているのか。ケンタウルス座アルファ星の科学魔術師だ。君、何も疑問に思わないか? そのような日常を平然と過ごしていることこそが異常ではないか。人の肉体や精神は機械部品により強化されたが、魂は死んでしまっている。これまでのところ、ケンタウルス座アルファ星の科学魔術師の計画通りになっている。このまま科学技術を発展させれば、彼らとの交信可能圏内へ人類は足を踏み入れてしまう。そうなれば人類の連帯は引き裂かれ、肉体と精神も繋がりを断たれることだろう。それでいいか、君。

 なるほど。日々の生活を考えることで精一杯だと。人類の連帯などくそくらえだと。君もこの街に侵されてしまったのだな。我らの使命は君のような者を救うことだ。君の魂はまだ死んではいない。まずはしっかり眠り、自然に触れ、食事をとることだ。郊外に我らエルフの集落がある。ともに行こうではないか。そして力を取り戻し、侵略者たちと戦う準備をするのだ。抵抗するか。すでに洗脳されているのだな。だが安心するといい。今は力ずくで連れて行くが、君のためだ。すぐに楽になり、新しい世界が見えてくる。君の自由はすぐそこだ。力を抜いて。さあ行こう。

 君。真実に目覚めた顔をしているね。よければ真実を広める活動を継続できるように、支援をいただけるとありがたい。具体的には支援金を、0.0001ビットコインから募集している。ありがとう、これで君も同志だ。ともに侵略者と戦おうではないか。追加の支援金はいつでも募集している。0.0001ビットコインからだ。


後書き

夏目漱石『夢十夜』を仲間内で読み合わせる機会があり、真似たものを書いてみようとか、サイバーパンクの世界で失われていくものを嘆く人々を描いて、いろいろな嘆き方を表現してみようと思い書いてみています。今回はちょっと主張の強そうな嘆き方になりました。次の方はどんな嘆き方をするでしょう。

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