食太郎日記

お元気ですか、
アセンブリック教団代表
河西数真()です。
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昔々、あるところに
食太郎という男がいました。

食太郎のいる村では、
数年に一度、飢饉が起こり
多くの人が飢え死にしていました。

食太郎はそんな村を、
なんとかしたい、
誰も飢えることのない村にしたい
と強く願っていました。

そんな食太郎の前に、
神が現れます。

「強い願いを聞いた。望みを叶えてやろう」

やがて村では、
飢え死にする人がいなくなり、
みんなお腹いっぱいで
毎日を過ごせるようになります。

お腹いっぱいだから
元気に畑仕事もできて、
前よりもおいしい作物が
とれるようになりました。

そして、贅沢に食材を
使えるようになったため、
料理の研究も進み、

優れた料理が生み出されていきました。

村を訪れた人たちは皆、
とてもおいしいと村の料理に満足し、
食太郎のいる村は
美食の村として有名になっていきました。

ところが、
村人たちは困っていました。

何日経ってもお腹が減らないのです。

食事を抜いても飢えることはなく、
お腹が減ることもありません。

村を訪れた人たちが
とてもおいしいという村の名物料理を、
彼ら自身はおいしいと
感じられなくなっていたのです。

それだけではなく、
一口でも食べようものなら、
気持ちが悪くなって吐いてしまう。

なんとかおいしい料理を味わいたい思いで、
村人たちは料理に工夫を重ね、
そのたびに村は美食の村として
有名になっていきます。

ですが村の料理を
おいしく食べる旅人たちを見て、
村人たちはみじめな気持ちになったのでした。

食べる楽しみを失った世界は、
村人たちにとって地獄のようでした。

原因を作った食太郎は、
地獄を作った男と呼ばれ始め、
村人たちから責められます。

耐えられなくなった食太郎は、
再び強く願うようになりました。

どうかみんなのお腹を
減らせるようにしたい、と。

そして神が現れ、
村人たちのお腹が減るようにしました。

みんながおいしく料理を
食べられるようになった翌年、
再び村が飢饉に襲われました。

美食に慣れた村人たちは、
飢饉に耐えられず、
またもや多くの人が
飢え死にしました。

食太郎は村人たちに恨まれ、
殺されて食べられてしまいました。

その後も村では、
美食と飢饉が繰り返され、
7年経ったある日。

「ええ加減にせえ!」

と怒った神は、
村人たちを全員食べてしまいました。

「食っていいのは食われる覚悟のあるやつだけだ」

その味は大変おいしく、
味をしめた神は
飢えに苦しむ他の村でも
同じことをするようになりましたとさ。

食太郎の日記に、
こんなことが書いてありました。

『地獄とは、人を幸せにしたいという狂気によって作られる』

『そして狂気を食らう神が、お前の村にもやって来る』

お気をつけください。

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