お元気ですか、かにかまです。
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クレイジーサイコ純文学という、興味深い記事を発見しました。
とても面白いので、解読(解釈?)を試みます。
まずは以下の元記事をお読みください。
→クレイジーサイコ純文学:暗号保護技術社会における現代春画家の優しい世界(外部リンク)
頭が痛くなってきましたか?
では一緒に、1部から順に読解してみましょう。
西郷隆盛画像の意味
まず、冒頭に西郷隆盛の画像が6枚表示されています。これは何を表しているのでしょうか。
画像データというのは、画素データの集まりです。ドット絵の1ドットである画素(ピクセル)はBGRAという色彩と明暗の情報をもちます。さらに、画像の幅という値を持っています。これにより画像は、1次元の配列データで表すことができるのです。
詳しくは、こちらの外部リンクをお読みください。
→画像データの基本的な構造(外部データ)
そして次の表現。
上に置かれた写真が、左から順番に小さくなる西郷隆盛の写真であるのに対し、下に置かれた西郷隆盛の写真は右から順番に小さくなっている。
上図から、ζ(s)=1<2<3、ζ(s)=4<5<6、 ζ(s)= (s = 12 + ix)と仮定すれば、
画像が大きいほど、その一次元配列データは大きくなります。ところが、大きい順のはずの1,2,3に対して、「ζ(s)=1<2<3」と表現されています。
何かの間違いかと思いました。
しかし、6つの画像を暗号データだと考えてみましょう。規則的に並べるのではなく、データの大小順を逆転させて並べることにより、安全性を高める技術を表しているのだと思います。
では、どうやって大小順を逆転させたりするのでしょう。そのヒントとして、リーマンのゼータ関数が紹介されています。
リーマンのゼータ関数とは何か、分からないからここでWikiってみました。
大変むずかしゅうございます。
次に示される図を見たほうが分かりやすいでしょう。ゼータ関数の零点の分布に関する未解決問題であるリーマン予想の図です。リーマン予想とは、「リーマンゼータ関数が負の偶数と実部が 1/2 の複素数にしか零点を持たない」という予想です。負の偶数の零点を自明な零点といい、実部が1/2の零点を非自明な零点といいます。
なぜ、ここでリーマン予想の図が示されたのか。
このリーマン予想の証明には、クレイ数学研究所により100万ドルの懸賞がかかっており、証明できれば名誉です。ひとつの考えとして、日本人にリーマン予想を証明してもらいたいという国を憂う気持ちの表れからリーマン予想の図を示したのではないかと思います。冒頭の画像が西郷隆盛であるのも、国を憂う気持ちからでしょう。
人間がその知恵を働かせるということは、国家や社会のためである。だがそこには人間としての「道」がなければならない。電信を設け、鉄道を敷き、蒸気仕掛けの機械を造る。こういうことは、たしかに耳目を驚かせる。しかし、なぜ電信や鉄道がなくてはならないのか、といった必要の根本を見極めておかなければ、いたずらに開発のための開発に追い込まわされることになる。まして、みだりに外国の盛大を羨んで、利害損得を論じ、家屋の構造から玩具にいたるまで、いちいち外国の真似をして、贅沢の風潮を生じさせ、財産を浪費すれば、国力は疲弊してしまう。それのみならず、人の心も軽薄に流れ、結局は日本そのものが滅んでしまうだろう。
Wikipediaより、西郷隆盛の思想
リーマン予想について、いくつか参考になりそうなサイトを貼っておきます。
- リーマン予想の意味,素数分布との関係(外部リンク)
- リーマンゼータ関数のゼロ点を手計算してみた(外部リンク)
ぜひ証明にチャレンジしてみてください。
1部の目的
リーマン予想を紹介した後は、1部の目的が語られます。
本稿では、SHA-1(薩摩藩)衝突攻撃と既存の暗号技術が抱える問題について整理し、どのような対策を講じるべきかを解説する。
SHA-1とは暗号通信技術で、受け取ったデータが改変されていないかを証明するためのハッシュ関数です。ハッシュ関数というのは、以下のように、元のデータからハッシュ値というデータを作る関数です。ハッシュ値を比較することで元データが改変されていないかを確かめるのですね。
しかし、SHA-1は旧式の技術で欠陥もあるため、2010年以降はSHA-2を用いるようにアメリカでは言われているようです。だから、(薩摩藩)なのでしょうか。
SHA-1の衝突攻撃とは何かというと、同じハッシュ値を与える異なる2つのメッセージを求めることです。「衝突攻撃について解説する」という言葉は、暗号のようなこの記事(=ハッシュ値)を読んでも、人によって異なるメッセージを受け取るということを示しています。受け取り方が多様な人間という問題に対して、どのように対策を講じるかを解説したのがクレイジーサイコ純文学なのですね。
高杉晋作の登場
次の一文です。
実際に素因数分解の計算量を詳細に求めるためには、実際に(高杉晋作が)素因数分解する必要がある。
唐突に高杉晋作が登場します。しかも、素因数分解をする必要にせまられています。
これは何を表しているのでしょう。
高杉晋作の辞世の句は「おもしろきこともなき世におもしろく」です。素因数分解の計算量を詳細に求めるには、つまらないことをおもしろがって出来る人が必要、ということではないでしょうか。そしてそれは、暗号技術の解明に貢献する、と。
さらに次の一文に、「アルゴリズムおよびワルツリズム」という言葉がでてきます。ワルツは三拍子の優雅な音楽ですね。この2文から、おもしろがって優雅に行うことが大切という主張が読み取れます。
SSLの脆弱性と人間の心の強さについて
次に、「Jack.G.Heartbleedのcryptanalysis(暗号解読)によれば、微積分法をライプニッツの記号法を用い乗算し、その値を除算ししさらに乗算し直すことで、」として、西郷隆盛の小さな画像が横15個×縦25個並んだ画像が貼り付けられています。
これはおそらく、OpenSSLの脆弱性として2014年に発覚した「ハートブリード」のことを示しているのでしょう。
すなわち、堅牢にみえる暗号技術でも、細かく分けて均一にしてしまえば解読できちゃうよ、ということです。途中で「K-F鍵Kentucky-Fried-Chicken」というような言葉が出てくるのは、おそらく作者のお腹がすいてチキンを食べたくなったからでしょう。同時に、食欲に勝てない人間の心の弱さを表現しています。
しかし、そのあとすぐに大きな西郷隆盛画像。そして1隆盛こそ最高のセキュリティだといいます。これは、西郷隆盛の思想を持てば人間は強くなれるという希望を示しています。
2部で明かされる作者の願い
非常に難解だった1部を終えた後には、2部は読みやすく感じます。
ここでは、登場人物が2人。漫画家の「君」と20くらいの「青年」です。
この登場人物は誰のことでしょうか。
「君」とは、暗号通貨好きなあなた。「青年」とはただ儲けたくて暗号通貨に興味をもちはじめた私のような人間だと考えます。
そうすると、辻褄が合うように思います。
ひとつの漫画(=ビットコイン?)を見て嬉しがる青年。
その他の漫画(=草コイン?)を嬉しがって説明する「君」。
初心者の「青年」は理解できず、瞳から光を失う。
それを見てがっかりする「君」
いかがでしょうか。
そしてラストシーンに映るのは、『龍馬がイク!』の漫画です。龍馬といえば、薩長同盟の立役者ですね。
このラストシーンが示唆するのは、「争いをやめて和を大切に」ということです。
クレイジーサイコ純文学とは、「国を思う心」「和の心」を暗号的に表現した暗号文学とでも呼べるような新ジャンルの文学だと思います。
そして作者の願いは、この暗号文学についてあーだこーだと解釈して楽しく和を築いてもらいたい、ではないでしょうか。おもしろがって、優雅に。殺伐とした相場だからこそ。
狂気の中の優しさを感じました。
お読みいただき、ありがとうございました。
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