人生なめてるやつからみたジブリ映画『風立ちぬ』

日常を楽しむ

お元気ですか、かにかまです。
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ジブリ映画『風立ちぬ』を
見たことはありますか?

どうもこの映画、
評価が分かれているようですね。

私の感想としては
「余白」の多い映画だな
と思いました。

人物の行動理由や心情が
はっきりと描かれているわけではなく、
ストーリーから読み取ったり、
視聴者の考えを入れたりできるところが
私の思う「余白」です。

何かうまく言葉に表せないような
切なさが描かれているようにも
感じました。

そんな点から、
ジブリ映画ではありつつも、
万人受けする映画では
ないのだと思います。

でも、
人生なめてるやつには
何か響くものがある映画です。

一体何が響くのか?

この記事では、
ジブリ映画『風立ちぬ』を
人生なめてる私にとって
都合のいい一面だけをみた
感想を
お伝えします。

だから普通の人が読んでも
気分を害するだけかもしれません。

でも、いいのです。

人生なめてるやつにとって、
「そんなの関係ねぇ!」
からです。

主人公が人生なめてる

この映画の背景は、
大正~昭和の日本です。

主人公はゼロ戦を設計した実在の人物
堀越二郎をモデルにしつつ
その半生については創作されていて、
関東大震災や昭和恐慌を脇目に見ながら
自分の夢を追いかけ続けた姿が描かれます。

生まれはいわゆる「いい家庭」
妹は医者になります。

勉強はバリバリ、
教師にも気に入られて、
喧嘩もそこそこできる。

お坊ちゃんなのに。

正義感が強く、素直で
頭もいい。

そんな少年時代には納得できるのですが、
青年時代以降に違和感を覚えました。

「美しさ」を求めて
飛行機の設計にはまる
エリートなのですが、
人はそこまで「美しさ」を
求めることができるのだろうか、と。

でも、
人生なめてるやつだとしたら
結構なるほどと思えます。

お金で苦労したことなどない、
どこか浮世離れしている、
夢が叶うと信じて疑わない、
「採用後、早く来てほしい」
という会社の思いなど気にしない
空気の読めなささ。

世界のきれいなとこだけ見てきたような
幼さというか、物事の一面だけみるような
「金は欲しいけど楽がしたい」のような。

やっぱり人生なめてる
という言葉がぴったりです。

そんな人生なめてる主人公に
劇中で一度、
人生を考えるチャンスが
あったと思います。

それは、お腹をすかせた子供たちに
シベリアというお菓子を恵もうとして
拒否された場面です。

自分の夢である
飛行機開発にかかるお金で
日本中の子供のお腹をみたせるだろう
と聞いたとき、
もしあなたならどうします?

他人の犠牲の上に
自分の理想を築いてはいけない
とか罪悪感に襲われると思いませんか?

「そんなの関係ねぇ!」
ではありませんが、
矛盾だね、といいながらも
自分の夢を追いかけるあたり、
少しうらやましいと
私は思いました。

そんな主人公も、
飛行機開発に失敗して
失意に暮れるので、
いい気味です。

失意の主人公が出会ったのが、
幼少の頃以来の少女=ヒロイン。

このヒロインも人生なめてます。

ヒロインも人生なめてる

ヒロインもやはり
「いい家庭」に生まれ、
幼いころ出かける際には
侍女が付き添って、
何気なくフランス語が話せる
というような人物です。

主人公との出会いは、
関東大震災の時、
同じ列車に乗り合わせていたことが
きっかけとなっています。

地震の際に怪我をしてしまった侍女を
黙々と助ける主人公の姿に
惚れ込んだようです。

ただし二人はそれから
数年会うことはありません。

再開したのは
主人公が飛行機開発に失敗して
失意とともに休養に入った時、
ヒロインは療養先で絵を
描いていた時でした。

その時ヒロインが描いていたのは
鮮やかな色使いの油絵です。

「淡い色使いと繊細な線で描く絵もあれば、
鮮やかな色使いと大胆な線で描く絵もある。
どちらがいいというわけではなく、好みだ」

中学生の頃、絵画教室で
言われたことです。

人生なめてる主人公にひかれるのも、
好みだと思います。

あ~私もモテたい……

話がそれましたね。

大震災の時に助けてもらったからといって
一回あっただけの人を数年間覚えていて
再開して恋人になって
結局結婚するなんて、
とてもロマンチック
と思うかもしれません。

ですが、
そんなたった一回の出会いを
ずっと忘れないなんていう
夢見る少女的なところこそ
人生なめてるポイントです。

人を好きであることが、
結核を患っていたヒロインの
辛い現実から逃避する手段
だったのかもしれませんね。

当時の結核は不治の病。

自分が死ぬなんて考えたら、
そんな現実と向き合うなんて
とてもじゃないですができません。

「鮮やかな色使いの油絵」
にも病弱な自分という現実への
逃避を感じませんか?

そんなヒロインにとって、
主人公への恋は都合の良い逃避先
だったのではないでしょうか。

病気が進行して、
主人公のもとを
ひっそりと出ていくことを
選んだヒロインに対する

「大好きな人に、
自分の美しい部分だけを
見てほしかったのね」

というセリフに、
実はヒロイン自身こそ、
美しい部分だけを見たかったのでは
という感想をもちました。

他人への気持ちは
自分自身への気持ちの投影、
といいますからね。

そして、
物事の一面だけをみようとするのは、
「楽して稼ぎたい」
なんて考える
人生なめてるやつと同じです。

それが悪いことだとは思いません。

「好み」の問題だと思いますが、
繊細で淡い色の絵も、
大胆で鮮やかな色の絵も、
楽しめたらいいですよね。

生きる許可を与える物語

ラストシーンで、
ヒロインから
夢の中の主人公にかけられるのが、
「あなたは生きて」
という言葉です。

そして、映画のキャッチコピーは
「生きねば」

これらにどんな意味があるのでしょうか。

「あなたは生きて」
と言われた主人公は
「ありがとう、ありがとう」
と泣きます。

主人公もヒロインも
必死で生きなければいけないほど
貧しい家庭に生まれたわけでは
ありません。

でも、だからといって
何も悩みがないわけではないですよね。

ラストシーンでの
主人公の心情は
はっきりとは描かれていません。

人生での創造的な10年を終えた。

自らの設計した飛行機に乗って
多くの人が死んでしまった。

妻もいなくなってしまった。

自分の人生の意味はなんだったんだろう。

自分だけがこのまま
生きていていいんだろうか?

そんな主人公へ
生きる許可を与えたのが
「あなたは生きて」
という言葉だったと思うのです。

現実においても、
恵まれて生きてきたなりに
罪悪感を持つことがあります。

今、心臓は動いていて
確かに生きている。

けどそれは、
「生きねば」
と必死で得た命ではない。

世界に目を向ければ、
今日明日の命を
必死に繋いでいる人もいる。

そんな中、自分は
のうのうと生きていていいんだろうか。

そんな人に対して、
「生きていていいんだよ」
というのが、
映画『風立ちぬ』のメッセージ
だと私は受け取ります。

また、そのメッセージを伝えたのが
「美しい部分だけを見てほしかった」
人生なめてるヒロイン
というのも私にとっては
希望がもてる話でした。

『風立ちぬ』は
余白の多い映画だと思いますので、
見る人によって
いろいろな感想を
持つのではないかと思います。

人生なめてるやつが
『風立ちぬ』を見た印象は
貧しい時代に、お金には恵まれていた
人生なめてるやつが
生きることについて悩む映画、
という感じです。

最近世の中全て、
人生なめてる風に見えるんですよね。

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