カレル・チャペック『白い病』パンデミックの世界で何が起こるのか

お元気ですか、
アセンブリック教団代表
河西数真()です。
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2020年9月16日に、
岩波文庫から出版された
カレル・チャペック『白い病』

コロナではありませんが、
ある病気が世界的に流行した時、
何が起こるのかを描いた
戯曲です。

生きることが
しんどくなっている人にも
この作品から読み取れる
楽な生き方があります。

この記事では、
『白い病』
についてなめていきます。

カレル・チャペックってどんな人

1890年1月9日 – 1938年12月25日
に生きた、
ロボットという言葉を作った、
チェコのSF作家です。

代表的な作品に、

『R.U.R.(ロボット)』
『山椒魚戦争』

などがあります。

私は『山椒魚戦争』大好きです。

山椒魚かわいい。

カレル・チャペックの生きた時代では、
1914年に第一次世界大戦が勃発します。

彼の書く作品には、
「独裁国家」や
「戦争」に対する考え方が
散りばめられているのも特徴です。

『白い病』のあらすじ

50歳前後以上の人しか発症しない、
「白い病」が蔓延した戦争前夜の社会。

生きながら腐っていく
恐ろしいこの病に対して
一人の医者が、
治療薬を開発したのですが、
頑固な彼の信条は

  • 病気を治して命を救っても、
    戦争で失われるのなら無意味。
  • 戦争に関わっている人は治療しない。
  • お金持ちには平和のために
    できることがあるだろうから
    それをしないなら治療しない。
  • 貧乏人だけは治療する。

彼の信条に対抗する考えは、

  • 目の前に救える命があれば、
    救うのが医者としての義務。
  • 国のために、戦争をやめることはできない。
    (軍事産業でご飯を食べている人もいるし
    国民の活気も高くなる、という理由)

一方若者たちの考え方は、

  • 年寄りたちが居座っているから
    自分たちの居場所がないんだ。
  • 病気をきっかけとして
    俺たちが輝ければいい。

パンデミックな世界における、
それぞれの立場での
考え方の違いによる対立や葛藤。

それらが一体どんな悲劇を巻き起こすのか――

戯曲形式で書かれ、
読みやすい作品です。

50歳までに何ができるのか

『白い病』のポイントとして
50歳前後以上の人しか発症しない
という点があります。

疾患のある方や高齢者ほど
リスクが高いという点は少し、
コロナウイルスとも
共通しているかのようですね。

「自分たちには脅威ではない」
と感じがちな若者たちと、
今まさに自分が発症して
「死」の未来が見えている大人とでは
病気に対する考え方が大きく違うのは
当たり前のことです。

人類全体で考えてみれば、
最大寿命が100数十年から、
50年程度に縮まったくらいで
絶滅するわけではありません。

それでも、
理想を持って生きる人、
生きている内に
成し遂げたいことがある人にとって
突然のタイムリミット短縮は
絶望的なものです。

もう少しで理想を実現できそうだけど、
病気のために時間が足りなさそうな時、

  • 理想や信念を捨てて治療を受けるか
  • 治療を受けず信念を貫き通すか

そんな選択肢が提示されたら、
迷わず選択できる人などいるのでしょうか?

義務に縛られると生きることがしんどくなる

生きている間に戦争をなくさなければ、
とか
より良い国家を作れなければ、
とか。

作品の中には、
人生における義務感をもつために
生きづらくなっている人物が
登場します。

それはそれで、
かっこいい生き方ですが、

自分の人生に義務感を持ち、
理想が大きい人ほど、
人間であることの限界に
苦しんでいるもの。

「永遠に生きられたらなぁ」
とよく思う私もしんどいです。

もう少し楽に生きて、
助けが必要な時に、
素直に助けてといえるように。

このブログでは、
「なめて生きる」
ことを推奨しています。

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